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障害福祉

「加算」にはどんなものがあるの?

2024.03.08

 

 

 

みなさん、こんにちは。今回は障害福祉サービスにおける報酬の「加算」について、お話していきたいと思います。障害福祉サービスの報酬には提供したサービスに対する基本的な対価である「基本報酬」と、一定の要件を満たした場合に基本報酬に上乗せされる「加算」があります。「加算」には多くの種類があります。ここでは代表的なものを取り上げたいと思いますが、まずその前に事業所の最も基礎的な収入となる「基本報酬」について簡単にご説明します。

※単位数はいずれも令和3年度の基準によるものです。

 

「基本報酬」の計算方法

 

障害サービスの基本報酬は次の計算式で求められます。

 

算定する基本報酬の単位数 × サービス及び地域ごとに設定された単価 = 事業所に支払われる基本報酬

 

障害福祉サービスの報酬は金額でなく、サービスごとに設定されている「単位」に基づいて計算されます。
この単位数は障害福祉サービスの内容や、施設の人員配置数などにより細かく規定されています。また1単位あたりの単価は基本10円ですが、これに「1級地」から「7級地」及び「その他」の8段階に分かれた「地域区分」という割合をかけた金額が、その事業所がある地域での単価となります。

例えば、①大阪市内にある、②利用者が20人で、③利用者10人につき1人の職員が配置されている、④平均工賃月額が1万円未満の、⑤就労継続支援B型作業所の場合、利用者一人当たりの基本報酬は以下のように計算されます。

 

単位数516単位 × 単価10.91円(10円×地域区分1.091倍) = 5,629円/人

 

そして上記事業所において、ある月の利用者数が20人で営業日数が22日だった場合、当月の基本報酬額は

5,629円 × 利用者20人 × 営業日数22日 =2,476,760円

となります。こうして算出された基本報酬は「本体報酬」とも呼ばれ、これに加算が付くことで、事業所の収入も増えていくのです。

 

 

 

 

「加算」の種類ついて

本体報酬に上乗せされる「加算」にはどのようなものがあるのでしょうか。加算は実にたくさんの種類があります。また、障害福祉サービスの種類ごとに付けられる加算にも違いがあります。今回そのすべてをご紹介することはできませんが、代表的なものをいくつかご紹介します。

 

・送迎加算
障害福祉サービスの中でも最もポピュラーな加算です。主に就労系や通所系サービスなどで利用される加算です。利用者を自宅や最寄り駅、集合場所などまで送迎した場合に算定できる加算です。片道の送迎を1回、往復の場合は2回と数えます。送迎加算の要件は
①1回で平均10人以上が送迎を利用していること(ただし利用定員が20人未満の事業所であるときは、1回で利用者の平均50%以上が送迎を利用していること)
② 週3回以上の送迎を実施していること
の二つです。加算される単位数は次の通りです。
送迎加算(Ⅰ):21単位 (上記要件①、②とも満たす
送迎加算(Ⅱ):10単位 (上記要件①又は②のいずれかを満たす

 

・初期加算
新規で利用を開始した利用者において、開始後30日間の期間限定で算定できる加算です。
加算できる単位数は1回につき30単位です。

 

・利用者負担上限額管理加算
利用者負担上限額とは、利用者が負担する金額に上限が設けられているということです。基本的に障害福祉サービスの費用は1割が自己負担となっていますが、それだと負担が大きすぎる場合に、自己負担額に上限を設けて負担を抑える措置がなされています。この利用者の負担上限額を管理する事務を行う場合に、加算がつきます。加算される単位数は150単位/月となります。

 

・視覚・聴覚言語障害者支援体制加算
視覚、聴覚、又は言語障害者が一定割合(利用者の30%以上)利用している事業所で、かつ視覚障害者等との意思疎通に関し専門性を有する者で、専ら視覚障害者等の生活支援に従事する従業員を、「利用者数÷50」人以上配置した場合に算定できる加算です。加算される単位数は41単位/日です。

 

・福祉専門職員配置等加算
良質な人材確保を目的として、常勤で一定の資格を有する福祉専門職員を一定割合以上配置した場合などに、算定される加算です。配置割合などにより、6~15単位/日までの加算がされます。

 

・食事提供体制加算
低所得利用者が、作業所などにおいて食事提供を受ける場合に算定できる加算です。提供する食事の調理については、事業所内の調理員が調理する場合でも、外部に調理を委託する場合でも、どちらの方法でも構いません。加算される単位数は30単位/日です。

 

・医療連携体制加算
医療機関の看護職員(又は認定特定行為業務従事者)が事業所を訪問して、利用者の看護や喀痰吸引などを行った場合に算定できる加算です。喀痰吸引については医療機関ではなく、事業所が看護職員を雇用して医療的ケア又は喀痰吸引等に係る指導を行った場合でも加算が可能です。ただし医師の指示に基づいたものでなければなりません。加算される単位数は看護時間や内容などによって異なり、32~800単位/日まであります。

 

・欠席時対応加算
利用者が通所予定の事業所を欠席した場合に、事業所の従業員が①利用者又はその家族等との連絡調整その他の相談援助を行いかつ②その利用者の状況、相談援助の内容などを記録した場合に、算定できる加算です。
加算は月4回まで算定できます。もともと通所予定日でないといけないこと、相談援助の記録を必ずつけなければならないことに注意が必要です。加算される単位数は94単位/回です。

 

・福祉・介護職員処遇改善加算
福祉・介護職員はその職責の重要性と裏腹に、これまで他の業種より平均賃金が低いなどの問題がありました。そこで職員の賃金を上げるために、「処遇改善加算」という制度を作りました。この処遇改善加算は他の加算とは比較にならないほど、要件が複雑な加算となりますので、ここでは割愛し、後日詳しくご説明したいと思います。

 

これ以外にも、障害福祉サービスには数多くの「加算」が設けられています。また、今回のブログでは取り上げませんでしたが、実は加算とは逆に、サービスの報酬が減らされる「減算」というものも存在します。この減算や処遇改善加算については、次回以降のブログにて詳しくお話していきたいと思います。