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建設業
建設業許可の事業承継ってどういうものなの?
2024.06.07
みなさん、こんにちは。今回は建設業許可の事業承継について、少しお話していきたいと思います。
個人事業主として建設業許可を取った方が、事業を拡大しようと新たに法人化(これを法人成りといいます)した場合、個人事業主の時に取得した建設業許可はどうなるのでしょうか。
以前はこのような場合、個人から法人への許可の引継ぎは許されず、いったん個人事業主を廃業して、新たに法人の立場で新規の許可申請を行うことになっていました。
しかし令和2年10月に建設業法が改正され、法人成りした場合に、個人から法人への許可の引継ぎ、すなわち事業承継が可能となりました。この事業承継について、今から見ていきましょう。
事業承継の認可について
建設業許可の承継は、国土交通大臣又は所轄の都道府県知事からの認可を受けることで行われます。ここでは許可ではなく認可という用語が使われます。
この承継の認可には、①事業譲渡、②法人の合併、③法人の分割、④個人の相続、の4種類があります。
先ほど例に挙げた、法人成りの際の事業承継は、個人から法人に建設業許可を承継させる形をとりますので、①の事業譲渡に該当します。
個人と法人、あるいは法人同士の事業継承だけでなく、個人間の相続についても、継承が受けられます。
すなわち、個人で建設業を営んでいた親が亡くなった後に、跡取りの子供が親の建設業許可を受け継いで建設業を営むことができるわけです。
認可の要件は次の3つです。
① (事業譲渡等の場合)事業承継等の効力発生日前までに認可を受けること
(相続の場合)被相続人死亡後30日以内に申請を行い、その後、認可を受けること
② 被承継者(被相続人)の建設業の全部を承継すること
③ 被承継者(被相続人)が一般(特定)建設業の許可を受けている業種について、承継者(相続人)が特定(一般)建設業の許可を受けていないこと
上記要件のうち③については少し分かりにくいかもしれないので、補足します。
例えば事業譲渡の場合で、譲渡人であるA会社(被承継者にあたります)が特定の大工工事業許可を、譲受人のB会社(承継者にあたります)が一般の大工工事業許可をそれぞれ持っていた場合、そのまま事業譲渡がなされると、譲受人であるB会社に一般・特定両方の大工工事業許可が備わることになりますが、これは許されません。事前にどちらかの許可を廃業する必要があります。
認可の申請は、国土交通大臣又は管轄の都道府県知事に対して行います。
大阪府の場合、承継者及び被承継者いずれも大阪府内の事業者である場合は、大阪府知事に認可の申請を行います。他方、どちらか一方でも大阪府以外の都道府県で建設業許可を受けた事業者がある場合は、国土交通大臣に認可の申請を行います。
また、許可番号については、承継者が建設業許可を受けていない場合は、被承継者の番号を引き継ぐことになります。他方承継者、被承継者いずれも許可を受けている場合は、どちらの番号にするか選択することができます。
認可申請の流れについて
事業承継の認可の手続きは、おおむね次の流れにしたがって行われます。
① 事前相談
② 認可申請書提出
③ 審査
④ 認可
⑤ 建設業許可の承継日(事業承継等の効力発生日)
⑥ 承継後の書類の提出・提示
事業承継の認可を行う場合には、まず予約を取ったうえで、役所の事前相談を受ける必要があります。大阪府の場合、当面の間、事前相談は1日2件までとされています。また遅くとも事業承継等の効力発生日の2ヵ月前までの相談を推奨しています。
事前相談を受けた後、所定の書類を揃えて認可申請書を提出します。提出期限は事業承継等の効力発生日の30日前までです。提出されると役所の審査が行われます。審査の標準処理期間は30日間ですが、それより時間がかかる恐れもあることから、できれば効力発生日の45日前には申請書を提出するよう推奨されています。
ちなみに認可の申請には手数料はかかりません。
審査が完了すると認可通知書が発行され、交付されます。
その後、事業承継等の効力発生日となり、晴れて建設業許可の承継が完了するという流れです。
なお、認可の申請において一部の書類は、事業承継の効力発生日後に提出することが認められています。ただし設定された期間内に書類を提出しないと、認可が取り消しとなってしまう場合があるので、注意しましょう。
事業承継のメリットについて
ここまで建設業許可の事業承継の概要や手続きについて見てきましたが、最後に建設業許可の事業承継を行う主なメリットについて簡単にご説明します。
メリット①:許可の空白期間が生じない
これまでの事業承継のやり方だと、従前の建設業許可を廃業し、新しく建設業許可を取り直す必要がありました。しかしこれだと、廃業して新規の許可が下りるまでの間は、建設業許可が全く存在しない状態となるため、許可が必要な建設業を営むことができない空白期間が生じることになりました。
しかし、建設業許可の事業承継を利用すれば、こうした空白期間が生じず、切れ目なく許可が必要な建設業を営めることになりました。
メリット②:手数料が発生しない
前述の通り、これまでの方法だと、建設業許可の新規申請を行う必要があったため、申請に係る手数料9万円が必要でした。しかし事業承継の認可は手数料がかからないため、その分の手数料を節約することができます。
メリット③:任意で許可日を設定できる
例えば事業譲渡に基づく事業承継の場合、建設業許可の承継日は事業譲渡の効力発生日となります。つまり、事業承継認可の効力が発生する日を事前に申請者が設定することができ、スケジュール管理がやりやすくなります。
以上のように、建設業許可の事業承継によって、これまでよりスムーズに事業を引き継ぐことが可能となりました。
特に個人事業主が法人成りするときなどは、利用すると便利な制度です。
これ以外にも昨今の後継者不足により建設業に限らず、事業譲渡や法人の合併などの事例が増えてきています。建設業許可の事業承継も今後ますます増えてくるのではないでしょうか。
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